長澤クリニック

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関節リウマチ

関節リウマチとは

 膠原病の中で最も患者数が多い病気で、わが国では60〜100万人の患者さんがいるといわれています。男女比は1:4で女性に多く、40〜50歳代が発症のピークであり、複数の関節に炎症がおこり、痛みや腫れ、こわばりが生じる病気です。未治療の場合、関節破壊が進行し関節変形や機能障害が起こります。関節以外に皮膚や内臓に障害をきたすこともあります。

症状

 関節症状として、手指(指の付け根=中手指節関節、指先から二番目=近位指節関節)、足趾、手首の関節の痛みと腫れが数週間から数か月の間に徐々に起こります。通常多発性で肘や膝の関節が冒されることもあります。関節破壊が進行すると関節の動く範囲が限られるようになり、変形を来します。起床時に最も強く見られる関節のぎこちない、はばったい感じ(朝のこわばり)が現れます。全身症状として発熱や倦怠感、体重減少などが見られます。また、関節以外に眼の症状(眼球の発赤など)、心肺の症状(空咳や息切れ、胸部痛など)、神経症状(手足のしびれ、運動障害など)、皮膚症状(しこりや潰瘍)などが現れることがあります。関節外症状は治療に難渋することが多く、「悪性関節リウマチ」と呼び通常の関節リウマチと区別しています。

原因

 はっきりとした発症原因は不明ですが、元々遺伝的に関節リウマチを起こしやすい素因を持っている人に環境因子(感染、喫煙など)が加わる事によって発症するのではないかとされています。患者さんは自己免疫異常(免疫系が暴走し自分自身を攻撃する)が起こっており、その結果、関節の毛細血管が増加し血管内から関節滑膜(かつまく)組織にリンパ球、マクロファージなどの白血球がでてきます。これらの白血球が産生するサイトカイン(TNFα、IL-6など)と呼ばれる物質の作用により関節内に炎症反応がひきおこされ、関節の内面を覆っている滑膜細胞の増殖が起こり、痛みや腫れを起こし、関節液が増加し、軟骨・骨の破壊が進行します。

治療

 治療の目的は身体機能を良好な状態に保持することです。そのために適切な薬物を使用して炎症を出来るだけ早く抑え、関節破壊を防ぐ(薬物療法)、疼痛による筋力低下を防ぐための適切なリハビリテーション、関節破壊が進行し、関節機能が損なわれた場合に行われる人工関節置換術などの外科的治療があります。薬物治療では抗リウマチ薬(リウマトレックス/メトレート、アザルフィジン、リマチルなど)、生物学的製剤(エンブレル、レミケード、ヒュミラ、アクテムラ、シンポニー、オレンシア、シムジア)が中心となり、非ステロイド性抗炎症薬(セレコックス、ロキソニンなど)、ステロイド薬も補助的に用いられます。最近では生物学的製剤と同等の治療効果を持つ内服薬(ゼルヤンツ)も用いられるようになっています。

日常生活で注意すること

 ①関節を保護しましょう。
 ②十分な睡眠をとる、感染症予防を行うなど体調の管理に努めましょう。
 ③ストレスをためないようにしましょう。
 ④栄養バランスの良い食事をとりましょう。
 ⑤禁煙しましょう。
 ⑥口腔ケアに努めましょう。


抗リウマチ薬

抗リウマチ薬について

 関節リウマチの患者さんに起こっている異常な免疫機能を調整したり、免疫抑制をすることで病気の活動性をコントロールする薬です。関節破壊の進行を抑えるために早期(診断から3ヵ月以内)に投与を開始します。効果の現れ方には個人差がありますが、効果が現れるまで2~3ヵ月かかることもあります。現在、メトトレキサートが関節リウマチ治療の第一選択薬とされています。効果不十分の場合、他の薬剤の併用や他の薬剤への変更が必要となります。

抗リウマチ薬の主な副作用は?

 各抗リウマチ薬により副作用の出現時期と種類に特徴があります。メトトレキサート(リウマトレックス、メトレート)では開始数ヶ月から1年半に見られる口内炎や胃腸障害・肝障害、時期を特定できないまれな副作用である骨髄障害や間質性肺炎・リンパ増殖性疾患、サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)では開始1ヶ月以内に出現する皮疹、ブシラミン(リマチル)では開始数ヶ月から1年に見られる皮疹や蛋白尿などが知られています。


生物学的製剤

生物学的製剤について

 生物学的製剤は生物を利用して人工的に作成した蛋白質から作られた薬で、注射や点滴で使用します。関節の炎症に関与するサイトカイン(TNFα、IL-6)やリンパ球(T細胞)に直接作用することにより活性化を抑え、関節破壊の進行を止めることができる大変優れた薬ですが、感染症などの副作用に注意が必要です。治療を開始するにあたり血液検査や画像検査を行い、投与の必要性があるか、安全に使用できるかを確認します。


非ステロイド性抗炎症薬

非ステロイド性抗炎症薬について

 解熱鎮痛作用を有する薬剤であり、関節痛や筋肉痛などを緩和する作用があります。効果も比較的速やかに認められます。ただし、関節リウマチや他の膠原病疾患の炎症の進行や関節破壊を防ぐことはできません。内服薬、座薬、貼付薬(シップ)、塗布薬(軟骨、クリーム、ローション)など様々な剤形があります。

非ステロイド性抗炎症薬の主な副作用は?

 胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの胃腸障害、腎障害、気管支喘息の誘発、発疹、肝機能障害などがあります。


ステロイド薬

ステロイド薬について

 ステロイド(コルチゾール)とは副腎(腎臓の上にあります)から作られる副腎皮質ホルモンの一つです。ステロイド薬(プレドニゾロン、メドロール、リンデロンなど)は人工的に作成されたもので、体の炎症を抑えたり、免疫力を抑えたりする作用があり、さまざまな疾患の治療に使われます。一般に治療初期はその疾患に対して必要と考えられる十分量で開始し、症状の改善を見ながら徐々に減量していきます。

服用中に注意することは?

 ステロイドを数ヶ月服用し続けると、本来副腎から作られるホルモン(コルチゾール)が、体がその必要がないと判断して作られなくなります。この状態で急に薬を中断すると、気分不快、吐き気、倦怠感、発熱、場合によりショック症状などの副腎不全と呼ばれる状態になりますので、自己判断で急に内服を中止しないようにしてください。(胃腸炎による嘔吐、下痢で内服ができない時などは注射で投与することができますのでご連絡ください)。

ステロイド薬の主な副作用は?
1.少量(プレドニゾロンで1日15mg以下)や中等量(15mg〜30mg程度)の服用でも頻度が高いもの

  高脂血症、満月様顔貌(お月様のように顔が丸くなる)、肥満(中心性肥満)、骨粗鬆症、動脈硬化


2.中等量以下の服用でもみられ、大量(40mg以上)の服用では頻度が高いもの

  易感染性(感染症にかかりやすくなる)、糖尿病、高血圧、
  創傷治癒遅延(傷が直りにくい)、白内障、緑内障


3.大量の服用で時にみられるもの

  大腿骨頭壊死、ステロイド筋症、精神症状


膠原病とは

膠原病について

 1つの病気の名前ではなく、共通する以下の3つの特徴を持った病気のグループの名前であり、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎/皮膚筋炎、全身性強皮症などの病気が該当します。(下図をご参照ください)

1.体の関節・筋肉に痛みや炎症が起こる

 これらの症状がおこる病気を総称して「リウマチ」あるいは「リウマチ性疾患」といいます。

2.内臓と内臓、細胞と細胞のすき間をうめる結合組織(骨、軟骨、周辺軟部組織)に炎症が起こる

 結合組織に起こる疾患を総称して「結合組織病」と言います。

3.自分自身の体を自己の防衛システム
 (すなわち免疫:外敵である細菌やウイルスを攻撃して体から排除する)が攻撃してしまう

 自己に対する過剰な免疫応答による病気のため自己免疫病(自己免疫疾患)と言います。

膠原病図
膠原病の位置づけ

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